Activity Report

動報告

【大野公民館】大野 WEB 歴史散歩3
2023.08.10

6月16日(金)前日からの雨が止み、市民講座「四倉フィールドワーク②大野歴史ウォーキング」を無事開催しました。受講生14名は本館での事前学習後、地元の郷土歴史研究家である馬上喜好先生を先頭にスタートし目的地の薬王寺へ向かいました。
薬王寺は806〜810年に徳一大師により八茎岳薬師の別当として開かれ、真言宗奥州総本山として一大名刹となり、鎌倉・室町時代には岩城氏の保護を受け発展しました。その後、戦いにより寺勢が衰えていき、1868年の戊辰戦争では官軍側についた常陸笠間藩士が寺に立てこもったため平藩の攻撃を受けて、堂塔伽藍や薬師如来像など多くの寺宝を焼失し、現在は1992年に建てられた新しい本堂のみとなっています。こうした戦禍の中でも薬王寺が所有する文化財等は、先人の努力もあり今日に伝えられ、特に鎌倉時代後期の作とされている磐城平藩主・内藤義孝が1703年に寄進した木造文殊菩薩騎獅像、和鏡の厨子入金銅宝篋印舎利塔、弥勒菩薩が雲に乗って下降する姿を描いている絹本着色弥勒菩薩像の旧国宝(現国指定重要文化財)3点は価値が大変高いものです。一般公開されていませんが受講生に今回特別見学していただく貴重な機会となりました。

木造文殊菩薩騎獅子像 厨子入金銅宝篋印舎利塔 絹本着色弥勒菩薩像

県道41号(小野四倉)線を、唐橋地蔵尊前、旧結核患者病棟前を通り、目的地である薬王寺に到達です。正門前から息を切らして長い石段を登ると、住職が受講生一行を温かく迎えてくれました。空一面に青空が広がり、真夏のような太陽が顔を出しています。本堂前で住職からご挨拶いただき、数々の寺宝が納められている宝物館に案内され、厚い扉の鍵が開けられる瞬間を受講生は固唾をのんで見守っています。そして、眼前に薬王寺の秘宝たちが現れると時を忘れて拝観し、至福の時を迎えました。名画を鑑賞するように。

講座終了後、受講生から「大野地区の歴史遺産のすばらしさに感銘を受けた」、「今日の講座は本当に勉強になった。これからも継続することはもちろんのこと、新たなことにも企画してほしい」、「このようなツーリズムは大きな意義があるので今後も継続してほしい」などの感想の他、「これらが地元の四倉を含むいわき市民にほとんど知られていないので周知した方が良い」との意見もいただきました。今後も講座を通じて大野の貴重な歴史遺産を後世に伝えていく機会を提供しながら、多くの市民の皆様に情報伝達していきたいと思います。
最後に、参加していただいた受講生、馬上先生、薬王寺住職の皆様に、心から厚く感謝申し上げます。後期の四倉フィールドワーク講座も充実した内容となっていますので、たくさんの応募をスタッフ一同心からお待ちしております。

 

 

 

 

 

最近の活動報告
アーカイブ