Activity Report
活動報告令和7年6月17日 今年度2回目となる「久之浜通信~浜の歳時記を通じて~」を開催しました。
今回は、「大久地区に分布する双葉層群観察巡検」と題して、元石炭化石館副館長の菜花先生を講師にお招きしました。
1 フタバスズキリュウ産出地
昭和43年に発見されたフタバスズキリュウですが、単に幸運な地元の子どもが偶然に発見したものではなく、産炭地域であった「いわき市」では明治・大正時代より地質調査が盛んにおこなわれ、その発見がされた「玉山層」では、大正時代には既に「魚竜」の表記で化石が報告されていたこと。また、それらの資料をわかりやすくまとめた「あぶくま山地東縁のおいたち 柳澤一郎氏著」が昭和35年に発刊されていたこと。その著書にフタバスズキリュウ発見者の鈴木直氏が中学生時代にめぐりあったことなど、先人の研究の積み重ねの上にあった発見であったことが説明されました。
川に洗われて新しい地層が露出するため、今でも化石の発見は可能とのこと。(化石の採取には地権者の許可が必要です)
2 筒木原不動尊 地層観察地
地層観察地としての訪問ですが、苔むした石段とお社、川のせせらぎと木漏れ日が素晴らしいロケーションでした。
地元の方の話では、夏はアブが出るので水遊びには適さないということでしたが、観光地として一見の価値を感じました。
さて。こちらでは地区の地層の中でも最も古い「足沢層」の下部と、岩盤の花崗岩の地層を観察することができます。「足沢層」からはアンモナイトや貝が産出され、その中でも化石を核にして成長した石(ノジュール)が柔らかく、より多くの化石が発掘される場所に「アンモナイトセンター」が建てられたそうです。
「芦沢層」より新しく、「笠松層」は目立った化石の産出は無いが、当該地層は陸上で化石が残りにくい(死体がそのまま保存されないため)ため、もし「恐竜」が発見されるならば「笠松層」からではないかと考えられているそうです。
3 南沢化石産出地
この地層からは竜脚類の歯の化石などが発見されており、大変貴重な拠点であるとして市指定の天然記念物に指定されている地層。許可無く発掘することは禁止されているが、心無い盗掘の被害も出ており、地元の方にその素晴らしさを知っていただき、心無い盗掘被害を減らして欲しいとのお話を伺いました。