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動報告

【大野公民館】大野WEB歴史散歩4
2023.12.11

大野公民館の人気講座「四倉フィールドワーク」を2回開催し、地域の歴史遺産について受講生は理解を深めました。講師は地元の郷土歴史研究家である馬上喜好先生です。

第1回は10月13日(金)、清々しい秋晴れとなった「長友の魅力発見」です。黄金色が残る田圃の中を長友地区に向けて進むと、大野地区と長友地区の境に江戸時代の安永二(1773)年銘が刻まれた十九夜供養塔が、本尊の如意輪観音菩薩像を納めて建っています。女性の観音様で、十九夜の晩、月の出を待っている間、地区の女性が集まり安産や子宝を祈願したそうです。当時の人々の深い信仰心が伝わりますね。

 

最大の目的地である長隆寺に着くと、本堂脇にある朱塗りの地蔵堂が目に飛び込んできました。この中には、国指定重要文化財の木造菩薩立像が祀られています。南北朝時代初期(1334―1355年)のものと推定されており、像の高さは約177cm、頭を丸め、右手に錫杖、左手に如意宝珠を持つというお姿で、高みから遠方を無表情で見つめる姿は荘厳で威圧感もあります。受講生は特別公開の本像を間近に拝観し、息を呑みながら感激に満ちていました。

 

最後は玉山地区の田圃の中にある雷神様と雨乞いの一本松に立ち寄りました。大正の末頃までは市内各地で、田植えの時期に雨が降らないと「雨呼ばり」と言われる雨乞いをしていたとのことですが、現在この儀式が残っているのは玉山地区だけだそうです。毎年田植え直後の6月第1日曜日に地元の皆様が、雷神様の依代(よりしろ)となっている一本杉の下、祠の前に集まり五穀豊穣に必要な適雨適照を祈願しています。

 

第2回は、11月17日(金)、朝から秋雨が降る「大野歴史ウォーキング東編」です。受講生は本館での事前学習後、旧大野第一小学校駐車場に移動し、玉山古墳、滝夜叉姫の墓、金光寺、恵日寺と、まさに「歴史の里大野」を凝縮したコースを、雨のため狭い山道や急な階段を避けながら回りました。

玉山古墳は全長114m以上の市内で最も古い前方後円墳で、東北地方では宮城県の雷神山古墳、福島県会津坂下町の亀ケ森古墳に継ぐ第3位ということです。ここに納められた人物は大和政権と深く結びつきながら統治していたと考えられ、当時の大野には盛んな稲作と経済力を背景に巨大な権力が存在していたようです。滝夜叉姫は平将門の三女で、この地に逃れ生涯を父将門と一族の供養に捧げました。雨の雫に濡れた墓は幻想的に佇んでいました。涙を流す姫のように。

 

次は、玉山古墳の南麓に立地する金光寺です。本堂内で住職様から直接お話を聞かせていただき、お寺や大野地区の歴史について学んだ後、なんと一般公開されない寺宝の貴重な水晶玉も特別拝見させていただくことに。「何かご利益があるかも」と目を輝かせる受講生。幸運は訪れましたか。
外に出ると雨音がやみ、コース変更で断念した恵日寺へ向かいます。室町時代以降、岩城氏の庇護、江戸時代には磐城平藩主の祈願寺となり隆盛を極めましたが、昭和二十年7月28日の空襲により大伽藍は灰燼に帰しました。現在は正門のみが昔日の面影を残していますが、左甚五郎の作と伝えられている龍や猫等の見事な彫刻を見上げながら、受講生は感嘆の声を上げていました。

 

受講生からは「この地区の素晴らしさに感銘を受けた」「今まで知らなかったのでPRに力を入れてほしい」という意見を多くいただきました。本館では、これからも大野の貴重な歴史遺産を伝える「地域を知る講座」を開催していきます。雨の中参加いただいた受講生、馬上先生、長隆寺と金光寺の皆様、ありがとうございました。

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